幸せになる三つの方法 ①

 誰もがみな幸せになりたいと思って生きているのに、なぜか思ったとおりの人生にはならないとしたら、一体どうしたらいいのでしょうか?原因となるものを見つけて、臭いものに蓋をする代わりに、その部分を見つめて手放していくのがセラピーですね。場合によってはセラピストの手助けを必要とすることもあるでしょう。でも本当の癒しは自分でやっていくことができます。

 自分ひとりでできる、自分を幸せにするための三つの方法についてお話をします。この三つを本気で毎日実践していくことができたら、今の自分は必ず変わってきて、結果として今よりもずっと楽に生きていくことができるようになります。

 その一つ目は、我慢をしないということです。我々が生きているこの社会、文化の中では、我慢をしないで生きていくことなどできないかもしれません。人前で感情を出してはいけない。男は泣いてはいけない。女はいつも笑顔でいなさい。苦しさに我慢して、忍耐と努力を積み重ねることで立派な人間になれる。そう教わるのです。我慢強い自分をよしとしている人もいるでしょう。

 しかし、毎日我慢を繰り返して苦痛に耐えている人が幸せとはどうしても思えませんね。我慢すればするほど、怒り、恐れ、悲しみ、その他のマイナスの感情を沢山溜め込むことになります。感情は潜在意識の中に押し込まれて、エネルギーとなってマイナスの意識を生み出します。このマイナスの意識は、一口で言うと自己嫌悪の塊みたいな意識に成長していきます。自分はダメな奴だ、だから自分なんて嫌い、そんな嫌いなやつは幸せになんかならなくていい、そんなことを思っている意識なんです。

 潜在意識の中にある意識であるために、本人はそんな意識を自分が持っていることに通常は気付かないで居ます。そして、恐ろしいことに、このマイナスの意識は、人格形成のメカニズムによって、自分自身をより大きく成長させて、確立しようとするんです。その方法は、自分をより我慢させるような環境に追いやり、苦痛を味わわせます。その苦しい感情を自分の中に取り込むことで、自分を大きく成長させます。昨日より力をつけたその意識は、更に自分を苦しい状態に向かわせようとします。そしてまた我慢することによって、マイナスの感情を生み出して、それを餌としてまた自分を大きくすることができます。我慢を続けているとこの悪循環から抜け出られなくなり、最後は悲惨な結末になってしまうかもしれません。

 このように我慢は諸悪の根源と思っていただいてもいいかもしれません。我慢をし続けると、人間の自己防衛反応として、感じるべき苦痛を少しずつ感じなくなってきます。言い換えると、感情に鈍感になっていきます。本人は、100%感じていた苦しみのうち、30%とか20%しか感じなくなっていくので、今まで以上に我慢することができてしまいます。ただし、それは感じてないだけで、心の中にはそのままの苦痛の感情が蓄積されていってしまいます。だからこそ、余計に危険なことになってしまいます。

 また鈍感になるのは苦痛の感覚だけではなく、うれしいというのも20%、楽しいも20%、感動も20%しか味わえなくなりますので、喜怒哀楽の少ない、表情のない人物と化していきます。そして、終いにはどうして自分は生きているのか、人生なんて意味ないというようになっていってしまいます。

 さて、我慢しないということは、具体的に言えば、やりたいことをやる、やりたくないことはやらない。行きたいところに行く、行きたくないところには行かない。会いたい人に会う、会いたくない人には会わない。言いたいことを言う、言いたくないことは言わない。泣きたいときには泣く、怒りたいときに怒る、笑いたくないのに笑わない。

 こんなに単純明快なことなのにいざ実践しようとすると、難しいのです。それは大抵強い怖れの感情がそれを阻むからです。こんなことを言ったら相手になんて思われるだろう、笑顔で接しないと愛嬌のない人と思われてしまうかもしれない。そういった人の評価が気になって、どうしても我慢をしてしまいます。仕事をしていて我慢しないなんてことはあり得ないと言われる方もいらっしゃるでしょう。

 しかし段階を追って徐々に手放せそうな我慢からやめていくことで、今の自分が絶対に無理と思っている我慢も手放していくことができます。例えば、100個我慢していることが見つかったら、その中から今の自分が止められる我慢を探して、それをやめていくのです。今日100のうち2つの我慢を手放せたら、明日の自分は違う自分になっていますので、また別の我慢を手放していけるようになります。こうやって未来の自分に順次託していけばいいのです。

 ここで大切なことは自分が我慢してるのかどうか分からない、気付かない状態の場合です。気付かなければ手放すことは無理です。鈍感になっている場合は、毎日の自分をよくチェックして、本当に我慢してないかどうか点検してあげることが必要になります。セラピーを受けると、まず初めに感覚が元に戻っていきますので、そういったものを利用するのも一つの案だと思います。

 我慢しないということについて、最後に一点だけ確認しておくことがあります。それは、自分がやりたいことをやっているときに付随して発生する我慢も止める必要があるのかということです。答えはノーです。あなたがオリンピックの選手で、金メダルを目指して猛特訓しているとしましょう。練習は血のにじむような苦しいものかもしれません。そういった自分が幸せになるための確固とした目標に向かってやりたいことをしている時の我慢は、一向に構いません。なぜなら、本人の心が満たされて充実しているからです。

確固とした目標もないままに、ただ漠然と今の自分に我慢を強いているとしたら、その人は必ず明日もあさっても我慢し続けるに違いありません。さあ、今からどの我慢をやめるか決めて、すぐにでも実践して行って下さい。

 ②へ続く